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「交渉の行き詰まり」による団体交渉打切りと誠実交渉義務

 団体交渉における誠実交渉義務は、使用者に譲歩するまでの義務を課すものではありません(なお、「誠実」性については、使用者側だけでなく組合側の交渉態度も考慮して判断するべきだと考えられます。)。

 交渉が進展する見込みがなくなれば、団体交渉を継続する余地はなくなったとして、団体交渉の継続を使用者側が拒絶した場合には、正当な理由がないとはいえないとした最高裁判例もあります(最高裁平成4年2月14日判決)。

 しかしながら、いったん、団体交渉の打ち切りが正当と評価される場合であっても、月日の経過や事情変更により、交渉再開に意義が出てくる場合もあり得るところです。

 「交渉の行き詰まり」と、その解消ないし消滅については、諸般の事情から判断するべきことになります。

 誠実交渉義務に関する裁判例等については、植田裕紀久「誠実交渉義務違反について(上)(中)(下)」に詳細に紹介されています。