破産申立て費用を開始決定後の自由財産から捻出してよいか
破産申立ての弁護士費用をどのように準備するかは、破産申立ての際に検討するべき重要なポイントです。
破産申立ての弁護士費用は、破産法148条1項1号(破産債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用)、同2号(破産財団の換価、管理に関する費用)、同7号(双方未履行契約の履行選択による財団債権)のいずれにも該当しないと一般に考えられており、形成された破産財団から財団債権として優先的に確保することは困難といえます。
一括で申立費用の準備が難しい場合には、弁護士による受任通知送付後に積み立てを行うことにより、申立て費用を準備することも一般的に行われています。
それでは、破産者が自由財産から破産申立て費用を捻出することは問題ないでしょうか。
申立て費用は破産債権と考えられますが、破産債権は免責後も自然債務と考えられており、破産者が任意に自由財産から捻出することは問題ないという考え方もあります。
一方で,自由財産は破産者の破産後の生活安定のためにまずは宛てられるべきという考え方からすると,管財人や裁判所との調整が必要な場面も想定されます。
受任通知送付後、申立費用の積立中に、債権者から差押えがあった場合には、積み立て途中でも早急に破産申し立てを行うべき事案もあり、自由財産からの捻出を認めるべきという実際上の必要性もあるものと考えられます。
- 次の記事へ:「勾留準抗告に取り組む 99事例からみる傾向と対策」(現代人文社)
- 前の記事へ:定期建物賃貸借に関するいくつかの注意点