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定期建物賃貸借に関するいくつかの注意点

 定期建物賃貸借とは,期間の定めのある建物の賃貸借で,更新がなく,公正証書等の書面で契約することが必要です(借地借家法38条1項は,「公正証書による等書面によって契約をするときに限り」と定めています。)。

 借地借家法38条2項は,事前説明書の交付及び説明を求めており,この書面について最高裁平成24年9月13日判決は,賃借人が認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個の書面であることを要する旨判示しています。

 また,事前説明書の交付及び説明は,宅地建物取引士による重要事項説明書の交付及び説明で代えることはできないとされています。

 賃貸人による終了通知については,借地借家法38条4項本文が,満了の1年前から6か月前の間に終了する旨の通知をしなければ,その終了を賃借人に対抗することができない旨定めており,同条同項ただし書は,改めて終了通知をした場合には,その通知の日から6か月を経過した日に賃貸借は終了する旨定めています。

 賃借人の解約権については,借地借家法38条5項が「第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から1月を経過することによって終了する。」と定めています。