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損害賠償なんか踏み倒せ!

 刺激的なタイトルですが、租税法が専門の高橋祐介名古屋大学教授の債務免除益に関する論文のタイトルです(サブタイトルは、「債務の消滅をめぐる課税関係に関する一考察」となっています。)。

 借り入れた資金について債務免除を受けた場合の利益(いわゆる債務免除益)は、所得税法上の収入金額に当たるか、あるいは、法人税法上の益金に当たることが実務上及び裁判上肯定されています。

 この論文では、借入金の借入時に収入金額に算入されない点についての議論を確認したうえで、養育支払義務の消滅、所得税債務の消滅、不法行為による損害賠償請求権の消滅を題材に議論が展開されています。

 なお債務免除を受けた方が個人の場合には、債務免除益の所得分類が問題となります。

 給与所得該当性が問題となった近時の最高裁判例として、最判平成27年10月8日判決があります(最高裁ホームページpdf)。

 同判決は、給与所得に該当する場合には債務免除を行った権利能力なき社団の源泉徴収義務が生じることから、納税者と課税庁の争いとなりました。