民法899条の「相続分」の意義
民法899条の「相続分」とは,具体的相続分を指すか,法定相続分を指すかについて一応議論があるようです。
まず,具体的相続分の法的性質について,相続分説と遺産分割分説の対立があるとされます。
相続分説は,具体的相続分を,具体的な相続分計算をまたずに観念的な権利として存在し,各共同相続人に承継されるとする考え方です。
しかしながら,寄与分,及び,特別受益の具体的な金額が当事者の協議なり家庭裁判所の審判で決まらなければ具体的相続分は決まらない,すなわち,遺産分割協議までは決まらないとする考え方を遺産分割分説と呼ぶようです。
判例実務では,民法899条の「相続分」は,法定相続分を指すと考えられているようです。
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