財産分与と譲渡所得
離婚の際に、一方が他方に自己名義の財産を与えることを一般に財産分与とよびます(民法768条)。
財産分与について最高裁昭和50年5月27日判決は、財産分与による財産の移転は、分与者にとっては譲渡に当たることから譲渡所得税がかかると判断して言います。
所得税基本通達33-1の4が同趣旨の規定を定めており、課税実務はこの最高裁判例の立場によっています。
財産分与は夫婦共有財産の清算、離婚に伴う慰謝料、離婚後の生活についての扶養の要素があるとして、それぞれの法的性質に即して考えるべきであるという有力な反対説も主張されています。
なお、現金は譲渡所得を発生させる資産ではないので、現金で財産分与を行った場合には、最高裁の立場に立っても、譲渡所得課税はなされないことになります。
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