懲戒処分としての減給
懲戒処分として減給を行う場合にはできる減給できる範囲には制限があります。
1回の減給の額は平均賃金の1日分の半額を超えることはできず,また,減給の総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えておこなうことはできません(労働基準法91条)。
前提として就業規則上の根拠と,懲戒事由の程度・内容に照らしての相当性も求められます。
出勤停止処分による賃金減額は労務提供がなされなかったことによるものであり減給の規制は受けないと考えられ,また,人事処遇としての降格に伴う降給についても別の議論となります。
なお,国家公務員については,人事院規則12-0第3条が,「1年以下の期間,俸給の月額の5分の1以下に相当する額を,給与から減ずるものとする」と定めており,民間の労働者よりも多額の減給処分が可能です。
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