認定司法書士が委任者を代理して裁判外の和解契約を締結することが弁護士法72条に違反する場合であっても,当該和解契約は,その内容及び締結に至る経緯等に照らし,公序良俗違反の性質を帯びるに至るような特段の事情がない限り,無効とはならない(最高裁平成29年7月24日判決)
本件は,認定司法書士が140万円以上の過払い金についてAを代理して貸金業者との間で従前締結した裁判外の和解契約が無効であるとして,本人の破産管財人が当該貸金業者に対し,改めて過払金の請求をしたという事案です。
最高裁は,「認定司法書士が委任者を代理して裁判外の和解契約を締結することが同条に違反する場合であっても,当該和解契約は,その内容及び締結に至る経緯等に照らし,公序良俗違反の性質を帯びるに至るような特段の事情がない限り,無効とはならないと解するのが相当である。」とした上で,「本件和解契約の内容は, 本件取引に係る約330万円の過払金等について・・・200万円を支払うことにより紛争を解決するというものであり,その締結に至る経緯をみても,」「本件取引に係る過払金の額を説明し,Aの理解を得た上で,Aの意向に沿った内容の本件和解契約を締結したというのであって,上記特段の事情は うかがわれず,本件和解契約を無効ということはできない。」と結論づけています。
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