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精神保健福祉法の改正

 相模原市での障害者支援施設での事件を受けて検討されている精神保健福祉法改正について,日本精神神経学会が意見を公表しています(PDF)。

 ポイントは,精神科医療の役割が病状の改善などの精神的健康の保持増進であり,犯罪の防止を目的として改正を行うべきではないというところだと思います。

 精神保健福祉法は,精神障害者の医療及び保護を行い,障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)と相まってその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い,並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによって,精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的としています(第1条)。

 精神保健福祉法の対象とする精神障害者は、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質そのほかの精神疾患を有する者と定められています(第5条)。

 強制医療の側面があるので(入院の形態として,任意入院,医療保護入院,応急入院,措置入院があります。),法の対象を広げすぎると人権尊重の面から重大な影響が生じる懸念,狭めすぎると医療保護が必要な患者にそれを提供することが困難と指摘されています。