信託設定と遺留分減殺請求
信託が設定された場合、遺留分侵害行為を①当初信託財産が受託者に対して処分されることととらえる見解、②受益権取得ととらえる見解、③受託者に対して処分されること及び受益権取得双方ととらえる見解があります。
関連して、減殺請求権の相手方を①受託者とする見解、②受益者とする見解、③受託者及び受益者とする見解が考えられます。
信託設定がされても受託者は固有の利益を有さず(信託法8条。なお、信託契約において受託者が報酬を受領する旨の定めをおくことにより受託者が信託報酬を受けとることができることについて信託法54条1項。)、ある財産が受託者に移転すること自体からは誰にも利益が与えられるものではないという考え方からは、受益権の取得を遺留分減殺請求の対象とするべきと考えることになります。
信託法第八条 受託者は、受益者として信託の利益を享受する場合を除き、何人の名義をもってするかを問わず、信託の利益を享受することができない。
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