名古屋市の弁護士 森田清則(愛知県弁護士会)トップ >> 倒産 >> 所有権留保行使の限界~留保所有権者の視点から

所有権留保行使の限界~留保所有権者の視点から

 自己破産手続きや個人再生手続きを行う場合には、どのような財産を残せるのかについての検討が欠かせません。

 最近では、(軽)自動車の所有権留保について、その対抗要件の具備を中心に議論されていますが、対抗要件の具備が問題がないにもかかわらず、財産の特質に応じて残せる場合があるかといのがここでの問題意識です。

 端的にいうと、諸事情により留保所有権者が引き上げを行わない場合であり(オーダーメードの商品で転用が困難なケースや、引き上げないし撤去費用に多額の費用が発生するケースと一応言えそうです。)、公にはなかなかならず、かつ、結果論的な側面も非常に強く、破産管財人や裁判所との協議が重要な意味を持ちそうではありますが、引き続き研究を進めたいと思います。

 なお,例えば,JCBの会員規約(個人用)では,以下のとおり定めています。

第23条 (債権譲渡の承諾・立替払いの委託)

1. 当社、JCB、JCBの提携会社またはJCBの関係会社と加盟店間の契約が債権譲渡契約の場合、会員はショッピング利用代金の債権について以下のことを予め異議なく承諾するものとします。なお、債権譲渡に際しては、JCB が認めた第三者を経由する場合があります。(1) 加盟店から当社に対して債権譲渡すること。(2) 加盟店からJCB に対して債権譲渡したうえで、当社がJCB に対して立替払いすること。(3) 加盟店からJCBの提携会社に対して債権譲渡したうえで、当社が当該JCBの提携会社に対して立替払いすること。(4) 加盟店からJCBの関係会社に対して債権譲渡したうえで、JCB が当該JCBの関係会社に対して立替払いし、さらに当社がJCB に対して立替払いすること。

2. 当社、JCB、JCB の提携会社またはJCB の関係会社と加盟店間の契約が立替払い契約の場合、会員はショッピング利用代金の債権について以下のことを予め異議なく承諾するものとします。なお、加盟店への立替払いに際しては、JCBが認めた第三者を経由する場合があります。(1) 当社が加盟店に対して立替払いすること。(2)JCB が加盟店に対して立替払いしたうえで、当社がJCB に対して立替払いすること。(3)JCB の提携会社が加盟店に対して立替払いしたうえで、当社が当該JCBの提携会社に対して立替払いすること。(4)JCB の関係会社が加盟店に対して立替払いしたうえで、JCBが当該JCBの関係会社に対して立替払いし、さらに当社がJCBに対して立替払いすること。

3. 商品の所有権は、加盟店から当社に債権が譲渡されたとき、または当社が加盟店、JCBもしくはJCBの提携会社に対して立替払いをしたときに当社に移転し、ショッピング利用代金の完済まで当社に留保されることを、会員は承認するものとします。