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労働審判に対する異議申立てについての整理

 労働審判に対する異議申立ては,審判書が送達された日,または,口頭で審判が告知された日から2週間以内に書面で行うことが求められます。

 なお,副本の提出は不要ですがFAXではできないことになっています。

 適法な異議申立により労働審判はその効力を失い,訴えの提起があったものとみなされることになり,異議申立の取下げはできないことになります。

 異議申立てによる訴訟は,労働審判が行われた裁判所に係属することになり,手数料,郵券は,もとになった労働審判の申立人が負担します。

<労働審判法>

第20条 労働審判委員会は、審理の結果認められる当事者間の権利関係及び労働審判手続の経過を踏まえて、労働審判を行う。

2 労働審判においては、当事者間の権利関係を確認し、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命じ、その他個別労働関係民事紛争の解決をするために相当と認める事項を定めることができる。

3 労働審判は、主文及び理由の要旨を記載した審判書を作成して行わなければならない。

4 前項の審判書は、当事者に送達しなければならない。この場合においては、労働審判の効力は、当事者に送達された時に生ずる。

5 前項の規定による審判書の送達については、民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)第一編第五章第四節 (第百四条及び第百十条から第百十三条までを除く。)の規定を準用する。

6 労働審判委員会は、相当と認めるときは、第三項の規定にかかわらず、審判書の作成に代えて、すべての当事者が出頭する労働審判手続の期日において労働審判の主文及び理由の要旨を口頭で告知する方法により、労働審判を行うことができる。この場合においては、労働審判の効力は、告知された時に生ずる。

7 裁判所は、前項前段の規定により労働審判が行われたときは、裁判所書記官に、その主文及び理由の要旨を、調書に記載させなければならない。

第21条  当事者は、労働審判に対し、前条第四項の規定による審判書の送達又は同条第六項の規定による労働審判の告知を受けた日から二週間の不変期間内に、裁判所に異議の申立てをすることができる。

2 裁判所は、異議の申立てが不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。

3 適法な異議の申立てがあったときは、労働審判は、その効力を失う。

4 適法な異議の申立てがないときは、労働審判は、裁判上の和解と同一の効力を有する。

5 前項の場合において、各当事者は、その支出した費用のうち労働審判に費用の負担についての定めがないものを自ら負担するものとする。

第22条  労働審判に対し適法な異議の申立てがあったときは、労働審判手続の申立てに係る請求については、当該労働審判手続の申立ての時に、当該労働審判が行われた際に労働審判事件が係属していた地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。この場合において、当該請求について民事訴訟法第一編第二章第一節 の規定により日本の裁判所が管轄権を有しないときは、提起があったものとみなされた訴えを却下するものとする。

2 前項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件(同項後段の規定により却下するものとされる訴えに係るものを除く。)は、同項の地方裁判所の管轄に属する。

3 第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされたときは、民事訴訟法第百三十七条 、第百三十八条及び第百五十八条の規定の適用については、第五条第二項の申立書を訴状とみなす。