取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効である (最高裁平成29年2月21日決定)
抗告理由を「取締役会設置会社において,定款で株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができるものとすることは,代表取締役の職務執行に対する取締役会の監督権限を弱めるから,本件定めは無効」とする,職務執行停止,代行者選任仮処分命令申立て却下決定に対する許可抗告事件です。
結論として,取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効であるとされています。
江頭憲治郎「株式会社法<第6版>」315頁には,「なお代表取締役・指名委員会等設置会社の執行役のように取締役会に任免権があると定められている者の選任(選定)・解任(解職)を定款の定めにより株主総会の決議事項とすることは認められない,とする見解があるが,とくにそう解する必要はない。」と記載されています。
- 次の記事へ:労働審判に対する異議申立てについての整理
- 前の記事へ:シリーズ刑事司法を考える第0巻「刑事司法への問い」(岩波書店)