多数の判例及びその解説を収録した雑誌の「編者」として表示された者について,著作者の推定が及ぶとした上でその覆滅を認め,同人の著作者人格権に基づき当該雑誌の改訂版の複製等を差し止める仮処分決定を認可した原決定を取り消し,仮処分命令申立てを却下した事例
著作権判例百選第5版の出版が問題となった知財高裁平成28年11月11日決定が判例タイムズ1432号103頁に掲載されています。
匿名コメントでは,本件が,知的財産法専攻の大学教授が著作権・著作者人格権に基づき「著作権判例百選」の複製等の差止めを求めるという事案であるがゆえに社会的な関心を呼んだ事案であるが,あくまで事例判断にすぎない旨の指摘がなされています。
また,本件の事案に特有の事情が結論に影響を及ぼしたことが強く伺われること,限界的な事例であったという指摘もなされており,改めて検討しておきたいと思います。
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