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対抗要件が具備された所有権留保自動車の個人再生手続き上の処理方法

 ローンの支払いが完了していない自動車について対抗要件の具備された所有権留保が設定されている場合,信販会社は,開始決定後であっても,別除権者として引渡しを請求できることになります(再生債権の弁済禁止。民事再生法85条1項参照)。

 実務上は,代理人弁護士が受任通知を発送した時点で弁済を停止することから,引き渡しの請求を行うことが通常です。

 再生債務者にとって自動車が生活上欠かせない場合には、信販会社と交渉をして,親族等が残債務を一括して弁済する、親族等に時価で買い取ってもらう、連帯保証人が引き続いてローンを支払う、親族等が従前と同じ条件で新たな債務引き受けをする等の方法をとることが考えられます。

 また,再生債務者が上記のような方法をとることができない場合に,弁済協定を締結し、当該債務をとして共益債権として弁済(民事再生法119条)することも一応考えられますが,認められにくいのが実務の傾向です(通勤に使用するという程度では足りない。)。

 なお,買主が提携ローンとして金融機関から代金相当額を借入れ,売主(販売会社)が買主のためにこの金融機関からのローンについての連帯保証人となる形式をとり,販売会社がそのまま売買目的物の所有権を留保することで,主債務者が債務を履行しない場合に連帯保証人である販売会社がその債務を履行することにより買主に対して取得する求償権の担保とする類型もあります。