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可処分所得額を算出する際の「年齢」の考え方

 民事再生法241条3項の額を定める政令は,文字どおり,給与所得者等個人再生手続きの可処分所得額を計算する基準を定めています。

 同政令は,個人別生活費の額,世帯別生活費の額,冬季特別生活費の額,住居費の額,勤労必要経費の額を,民事再生法241条3項の「一年分の費用の額」と定義した上で,各項目の額を,再生債務者及び被扶養者の各年齢を基準にして詳細に定めています(年齢のほかに,地域や,被扶養者の人数なども基準になっています)。

 上記のように基準となる年齢については,同政令2条2項が「再生債務者が再生計画案を提出した日以後の最初の4月1日における年齢とする。」と規定することから,再生計画案の提出時期が民事再生申立時には決まらないため,可処分所得額,さらには,最低弁済額が確定しないということになります。

 このことは,民事再生の申立時ないし開始決定時に,厳密には履行可能性が判断できないということを意味します。

 この点にき,平成23年9月発行の愛知県弁護士会倒産法問題特別委員会編集の『個人再生申立マニュアル』の62ページでは,「実務上は,再生手続開始の申立てをした日以後の最初の4月1日における年齢を記載すればよい。例えば,1月31日に再生手続開始の申立てをした場合,再生計画案の提出日は4月1日以降となることが予想されるが,その場合に,「翌年4月1日における年齢を記載する」といった配慮をする必要はない。」との記載がなされています。

 現在,『申立の日の翌年4月1日における年齢を記載する』という運用変更が検討されています。