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「タックス・ヘイブンー逃げていく税金」読了

 滋賀櫻著「タックス・ヘイブン-逃げていく税金」(岩波新書。2013年3月19日発行)を読みました。

 タックス・ヘイブンという言葉自体は前から知っていましたが,具体的な内容についてはほとんど知りませんでした。

 本書では,タックス・ヘイブンの仕組みはもちろんのこと,一般の方がタックス・ヘイブンと思っていない地域もそれに該当することを説明しています(同書178ページでは,タックス・ヘイブンを,①椰子の茂るタックス・ヘイブン,②群小のオフショア金融センター,③ロンドンとニューヨークの3つに分類しています。)。

 さらに,マネーロンダリングや,移転価格税制,金融商品のリスク顕在化に関する問題,ヘッジファンドの有害性等との関係についても触れられています。

 移転価格税制については,ロースクールのエクスターンシップ先の渉外法律事務所で実際の事件を見させていただいた経験があります。当該国ないし地域の税制度について,JETRO図書館で文献調査をしました。

 また,各国間で,税金の争奪戦が行われているという議論も大変興味深いものでした。

 全体を通して,著者が歴任した役職の経験を踏まえて,分かりやすく解説がなされています(著者は,旧大蔵省主税局の国際租税課長として,OECD(経済協力開発機構)のメンバーとして活動し,現在は弁護士です。)。