脱税について
1 脱税犯は,
①偽りその他不正の行為によって税を免れる狭義のほ脱犯
②租税収入を確保するために一定の行為を禁止する間接ほ脱犯
③徴収した租税を納付しない不納付犯
④滞納処分の執行を免れる目的財産の隠ぺい,損壊等を行う滞納処分ほ脱犯
に整理されます。
さらに,平成23年度税制改正において,無申告ほ脱犯,申告書提出犯が規定されています。
解釈論として議論が多いのは,①狭義のほ脱犯についてです。
2 ほ脱罪の保護法益については,
①国が租税債権を確定するために適正な課税処分をする権利とする見解,
②租税債権という国家の財産的利益とする見解,
③申告納税制度の維持とする見解
等が主張されているようです。
3 犯則調査の結果,犯罪事実ありと判断される場合,①直接国税の場合には直ちに告発の手続きをとらなければならならず(国税犯則取締法12条の2),②間接国税の場合には,通告処分によって事件を終結するのが原則となります(反則者が無資力等の場合には告発の手続きをとらなければなりません(国税犯則取締法14条))。
また,②の場合告発は訴訟条件となり,⑴の場合は訴訟条件とはならないという違いがあります。
4 弁護士としては,通常の刑事訴訟との違いを再度確認しておく必要がありそうです(裁判官のした差押等の許可及び収税官吏の差押処分に対しては,刑事訴訟法の定める準抗告はできず,行政事件訴訟法の取消訴訟を提起する方法によらなければならない等)。
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