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東京高裁,遷延性意識障害の将来介護費等を定期金賠償で認容

 自保ジャーナル1892号で紹介された,東京高裁平成25年3月14日判決です。

 同誌では,「自発呼吸がなく遷延性意識障害を残す24歳男子の将来介護費等を25パーセントの過失等から月額25万円の定期金賠償方式により認容した」と紹介されており,重度後遺障害者の将来介護費に関し,原告側は一時金賠償方式で請求して定期金賠償方式を望んでいない事案で,裁判所が定期金賠償方式による判決をした点が特徴です(原審の東京地裁平成24年10月11日判決が定期金賠償方式による判決をしていました。)。

 弁護士が交通事故の案件を扱う際に必ず参照する赤い本の2013年版下巻には,小河原寧裁判官の「定期金賠償判決に伴う諸問題」の講演録があり,同講演録では,①原告が一時金賠償方式による支払いを求めた場合に裁判所が定期金賠償判決を行うことが民事訴訟法の大原則である処分権主義に反しないか,②(①の処分権主義に反しないことを前提に,)裁判所が定期金賠償判決をする際に考慮するべき事情等について検討がなされています(なお,同裁判官は,原審東京地裁平成24年10月11日判決に関与されています)。