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あの世へ逃亡?

 刑事訴訟法60条1項3号は,勾留理由として,「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき」を規定しています。

 刑事事件を扱う弁護士には非常になじみのある規定です。

 勾留の目的に,被疑者ないし被告人の自殺防止が挙げられることもあります(勾留をしたからといって絶対に自殺を防げるというわけではありませんが)。

 被疑者ないし被告人に自殺のおそれがある場合には,それが刑事手続きを回避する目的,すなわち,逃亡のおそれがあることの重要な徴表ですから,勾留の必要性を肯定する要素と考えることが一般的と思われます。

 被疑者の段階で死亡すれば不起訴とされ(事件事務規定72条2項1号),被告人の段階で死亡すれば公訴棄却決定事由(刑訴法339条1項4号)となります。

 なお,自殺を,「『あの世への』逃亡」であると解釈し,勾留理由ありとする考え方もあるようです。