ソフトウェア開発関係訴訟
最近,いわゆるソフトウェア開発について,ユーザー側,ベンダー側から相談を受けることが多くなった気がします。
ソフトウェア開発の委託者を「ユーザー」,受託者を「ベンダー」 と表現することが多いです。
ソフトウェア開発契約の特徴として,
① 契約締結時には完成するべき仕様が確定しておらず,随時仕様確定作業が続く。
② 仕様の追加変更が行われ,最終的に契約した仕様が不明確となる。
③ 画像・音声・映像等のコンテンツ作成や操作性等の感覚的要素が仕様となる。
④(請負契約の場合には,ベンダー側に完成責任があると考えられるが,)ソフトウェア開発ではユーザー側にその積極的協力義務があると考えられる。
⑤ 性質上納品時に軽微なバグが生じるのは不可避であり納品後のバグ対応が予定されている。
⑥ ユーザーが使いこなすための運用の問題がある。
等が挙げられます。
ソフトウェア開発契約は,ユーザーにとって非常にリスクの高い契約であるとの分析がされており(後掲3参照),慎重な対応が求められます。
参考文献
1 ソフトウェア開発関係訴訟の手引き(判例タイムズ1349号)
~東京地裁の裁判官,書記官が執筆。
2 ソフトウェア開発関係訴訟の審理(判例タイムズ1340号)
~大阪地裁の裁判官が執筆。
3 ユーザを成功に導くシステム開発契約クラウドを見据えて(商事法務。弁護士西本強著)
~ユーザの立場から弁護士が解説。経産省モデル契約についても批判的な記述が多い。クラウド導入についての検討事項についても詳細に記載されています。
なお,ビジネスロージャーナル8月号には,スルガ銀行対日本IBM事件の特集があり,参考になります。