所有権留保と対抗要件
再生手続における別除権行使について,最高裁第2小法廷平成22年6月4日判決は,再生手続き開始時に担保権につき登記・登録が必要であり,自動車の所有権留保につき,その留保所有権を別除権として行使するには所有者登録が必要であると判示しました。
事案は,自動車の売買代金を立替払した信販会社が,販売会社に留保されていた自動車の所有権の移転を受けたが所有者の登録を受けていなかったところ,再生手続きが開始した購入者に対し,留保所有権に基づき別除権を行使したというものです。
本判決により再生債務者ないし管財人(弁護士が選任されます。)が別除権行使を拒否できることが明確になる一方で,当該自動車の売却には販売会社の協力が必要となることになります。
申立代理人弁護士としては,信販会社の自動車の引揚げ要請に漫然と応じることはできなくなることに注意が必要です(否認権の対象になる可能性がある。)。
その場合,自動車の保管方法が問題となり,事案によっては,(債務者に自動車を保持する必要性がないにもかかわらず,)駐車場契約等が必要となることもありそうです。
なお,軽自動車については以上と異なる処理が要求されるものと思われます。
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