合弁の形態
企業間提携契約の1類型として,合弁があり,複数の企業が一つの事業体を形成する点に特徴があります。
その方法として,株式会社,合同会社,有限責任事業組合契約(LLP),民法組合(任意組合)が挙げられますが,設立ないし事業開始に限っても,以下のような違いがあります。
株式会社では,設立の費用として定款認証代として5万円,定款に貼付する収入印紙が4万円,設立登記に関する登録免許税(Max,資本金の1000分の7;15万円)を要します。また,現物出資をする場合には,通常,検査役の調査又は弁護士等の証明が必要となります。
合同会社の場合,設立費用として,定款に貼付する収入印紙4万円と設立登記に関する登録免許税(Max,資本金の1000分の7;6万円)を要しますが,定款認証代と現物出資に関する調査・証明は不要です。
LLPの成立の際には,組合契約の効力発生登記の登録免許税6万円を要しますが,収入印紙は不要です。
任意組合は,各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって成立するので(民法685条以下),他の類型で要求される手続きは要求されません。
社会的認知度を理由に,株式会社形態を選択する場合が多いとの分析もありますが,設立・運営費用,税務メリット等の観点から合同会社,LLPの活用も十分検討に値するものと思われます。
参考文献
シチュエーション別提携契約の実務(商事法務 2011年)
TMI法律事務所所属の弁護士が執筆しています。
企業間提携契約の理論と実務(判例タイムズ社 2012年)
弁護士と裁判官が執筆しています。
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