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管理監督者該当性が否定された場合に、管理監督者に該当することを前提に支払っていた管理職手当が不当利得に当たるとされた東京高裁令和元年12月24日判決

 残業代請求がされた場合に、使用者側の抗弁として当該労働者が管理監督者に該当することを主張する場合があります。

 使用者が管理職手当を支払っている場合もありますが、当該労働者の管理監督者性が否定された場合に、支払っていた管理職手当が不当利得に該当するとしたのが、東京高裁令和元年12月24日判決です(労働判例1235号40頁)。

 最高裁が令和2年9月25日不受理決定により確定しており、支払い済みの管理職手当について不当利得を理由とする反訴がなされていました。

 ざっくりまとめると、使用者側は当該労働者を労基法上の管理監督者に該当すると誤解して管理職手当を支払っていたのであるから、管理監督者に該当しない当該労働者は管理職手当を受給することはできないことになり、したがって管理職手当に相当する金額の受領は法律上の原因がなく不当利得に該当するとしたものです。

 弁護士がこの裁判例の射程がどのような場合に及ぶのかを検討するに際しては、管理監督者扱いされていた労働者に対する手当がどのような趣旨の手当なのかの慎重な検討が重要と考えられます。