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遺言執行者の特定財産承継遺言に基づく対抗要件具備の権限

 旧法下での相続させる旨の遺言は、改正法では、「遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言」と定義されたうえで、受益相続人が法定相続分を超える部分についての対抗要件を備えるために必要な行為をすることも遺言執行者の権限に含まれることが規定されました(1014条2項)。

 不動産登記実務では、相続させる旨の遺言では、不動産登記法63条2項による受益相続人が単独で登記申請できることになっていますが、最高裁平成11年12月16日判決が、相続させる旨の遺言の事案で、受益相続人以外の相続人が自己への所有権移転登記を経由しているときに、遺言執行者が当該移転登記の抹消登記手続きのほか、受益相続人への真正な登記名義の回復を原因とする登記請求権を有すると判示していることも参考にされたものです。