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全過程の取調べ可視化の例外事由への対応

 平成31年6月までに施行が予定されている改正刑事訴訟法301条の2第4項は、同条第1項で定める対象事件についての取調べの全過程の録音・録画義務とその例外事由を、以下のとおり定めています。

 弁護士としては、録音・録画されることを原則とすべきことから、できるだけ例外事由に該当しないような弁護実践が求められるといえますが,一方で,録音・録画された媒体が,実質証拠として位置づけようとする検察側の動きもないわけではないことから,2号の活用もポイントになるかもしれません。

 ただし,2号や4号については,捜査機関側が,被疑者が「記録を拒んだ」として,録音・録画をしない口実に活用することも懸念されるところであり,慎重な検討が求められると考えられます。

① 記録に必要な機器の故障その他のやむを得ない事情により,記録をすることができないとき。

② 被疑者が記録を拒んだことその他の被疑者の言動により,記録をしたならば被疑者が十分な供述をすることができないと認めるとき。

③ 当該事件が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(略)第3条の規定により都道府県公安委員会の指定を受けた暴力団の構成員による犯罪に係るものであると認めるとき。

④ 前二号に掲げるもののほか,犯罪の性質,関係者の言動,被疑者がその構成員である団体の性格その他の事情に照らし,被疑者の供述及びその状況が明らかにされた場合には被疑者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあることにより,記録をしたならば被疑者が十分な供述をすることができないと認めるとき。