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録音媒体の証拠能力と否定された事例

 民事訴訟における録音媒体の証拠能力については,一般的には証拠能力を有するものとされていますが,著しく反社会的な方法を用いて収集されたものであるときには証拠能力が否定されると考えられています。

 労働関係訴訟の実務〔第2版〕284頁で紹介されている東京高判平成28年5月29日は,証拠収集の方法及び態様,侵害される権利利益の要保護性,訴訟における重要性等を総合考慮の上,その証拠を採用することが訴訟上の信義則に反するといえる場合に証拠能力が否定されるとし,学校法人が非公開で録音しない運用とされ,委員に守秘義務が課されているハラスメント防止委員会の審議における委員の発言を,何者かが無断録音した媒体について結論として証拠能力を否定しています。

 違法性の程度が高いことに加え,証拠価値が乏しいことも認定されています。