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免責的債務引受の引受人が債務者に対して求償権を取得しないことの意味

 改正民法では,債務引受に関する明文の規定が設けられました。

 併存的債務引受の場合には,債務者と引受人は連帯債務者となるため両者の負担部分を観念することができ,別段の合意がなければ連帯債務における求償関係の規定(442条から445条)によることになります。

 一方で,免責的債務引受の場合には,改正民法472条の3が,引受人が債務者に対して求償権を取得しない旨定めています。

 債務者と引受人との間で別段の合意があれば別ですが,免責的債務引受の場合には,引受人が債務者が負っていた債務を引受人が引受け自己の債務として弁済することが理由とされます。

 求償権を実質的に確保する手段としては,併存的債務引受契約によったり,債務者と引受人間で委任契約を締結して費用償還請求権を行使する方法や,保証契約を締結する方法などが考えられます。