相殺の充当の規定
現民法512条は相殺の充当について,単純に弁済の充当の規定を準用していますが(488条から491条),民法506条に定められているとおり相殺には遡及効がある点で弁済とは異なる考慮が必要と考えられていました。
そこで改正民法512条は,債権者が債務者に有している1個または数個の債権と債権者が債務者に負担している1個または数個の債務について,⑴充当の順序に関する合意をしたときはそれによって消滅すること,⑵合意をしないときは,債権者の債権と負担する債務は相殺適状となった時期の順序に従って相殺によって消滅すること(同条1項),相殺適状の時期が同じ元本債権相互間と利息・費用債権の充当について,相当する弁済の充当の規定を準用しています(同条2項)。
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