労働協約の効力
労働協約の効力は,以下のとおり整理できます。
1 適用範囲
原則として組合員に限定されますが,事業所の4分の3以上の労働者が加入する労働組合と締結した労働協約は,当該事業所の非組合員にも適用されます。
ただし,複数の組合がある場合,別組合の組合員には適用されません。
2 個別の労働契約,就業規則に優先する規範的効力
労働条件,待遇に関する部分について,労働協約に違反する部分が無効となり,協約の基準が適用されます。
協約の基準よりも労働者に有利な部分も無効となります。
3 労働協約変更による労働条件の不利益変更
労働協約による不利益変更は,組合員に対して原則として有効となります(就業規則の変更のように合理性を問いません)。
ただし,特定または一部の組合員を狙い撃ちにした不利益変更は無効とされます。
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