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木内道祥最高裁判事の後任に宮崎裕子弁護士

 先日のNHK最高裁判決で説得的な反対意見を述べた木内道祥最高裁判事の後任に、税法の分野で著名な長島・大野・常松法律事務所の宮崎裕子弁護士が決まったようです(最近では,LPS事件(最高裁平成27年7月17日判決)に関与されていたようです。)。

 私が持っている宮崎裕子弁護士の著書として、「国際租税法(第3版)」(東京大学出版会)があります。

 また、BEPS行動計画を踏まえ、一般的租税回避規定の導入の議論が活発ですが(さしあたり、フィナンシャル・レビュー126号所収の論文参照)、ジュリスト1496号37頁掲載の「一般的租税回避否認規定―実務家の視点から<国際的租税回避への法的対応における選択肢を納税者の目線から考える>」の論文は、租税法律主義の機能として、「租税は、国家による私人からの対価なき財産権の強制的な移転である。そうであるが故に、国会が定める法律の根拠に基づくことなしに国家が租税の賦課・徴収することは許されない。納税者の視点から言うならば、租税は、国会が定める法律に規定された明確なルールにしたがって課される場合に初めて正当性を持つのである。そして、明確に法定された課税要件は、納税者に法的安定性と予測可能性を保証する」と述べられています。

 同論文の最後では、「国(立法府)には法律制定権限があるが、納税者には法律制定権限はないという本質的な違いがある以上、立法の不備や遅れのつけを国(課税庁)が負うべきではないという考え方をとることはできないし、明確ではない課税要件や立法の遅れのつけをひとり納税者が負担するべき理由はない。アグレッシブなタックスプランニングとのいたちごっこを心配する向きもあるかもしれないが、国に質の高い立法力があってこそ、法的安定性と予測可能性が高まり、納税者のタックスコンプライアンス意識も高まるというものであろう。」と締めくくられています。

 国側に対する厳しい判決が期待できるかもしれません。