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給与所得控除と特定支出控除

 給与所得控除は、給与所得の必要経費の個別的認定が困難であることを考慮した概算経費控除を認めるべきであること、給与所得の勤労性所得の側面による担税力の弱さ、給与所得の捕捉率が他の所得と比べて高いこと等を理由に採用されたと考えられています。

 なお給与所得控除の具体的金額については、平成26年所得税法改正において、平成28年分について給与等の収入金額が1200万円を超える場合には230万円、平成29年分以降については1000万円を超える場合には220万円に引き下げられています。

 給与所得者が給与所得控除の2分の1を超える特定支出を行うと、その超えた金額を給与所得控除後の給与所得金額からさらに控除できることからすると、現行所得税法は、給与所得控除額の2分の1が給与所得の概算経費控除にあたると考えているということができます。

 特定支出控除は、いわゆる大島事件最高裁判決をふまえて、昭和62年に導入された制度ですが、適用例は極めて少ないといわれています。