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アルゴリズムにより再犯可能性を予測するシステムの判断結果を考慮して裁判所が量刑判断を行うことが,適正手続保障に反しないとされた事例

 緑大輔一橋大学准教授が,判例時報2343号128頁で紹介しているアメリカ合衆国ウィスコンシン州最高裁2016年6月13日判決です。

 COMPAS(CorrectionalOffenderManagementProfiling for AlternativeSanctions)による再犯予測結果が宣告刑の理由の一つであることを説示しました。

 再犯可能性を見積もるこのCOMPASによる算定方法は企業秘密とされ,裁判所には評価結果のみが報告されたということです。

 このような制度が近い将来日本の刑事裁判で利用されることはないとは思いますが,従業員採用の際にAIを活用することなどは現実に検討されているようであり,日本にも示唆的な裁判例といえそうです。

 日本の文献として駒村圭吾教授の『「法の支配」vs「AIの支配」』が参照されています。

 また,AIやプロファイリング・ビッグデータの憲法問題については,山本龍彦教授の一連の研究があり,最近出た弘文堂の「AIがつなげる社会」に掲載されている,『AIと「個人の尊重」』の論文のなかで,今回の判例が紹介されています。