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借用概念について統一説をとるべき理由

 他の法律で用いられ明確に意味内容を与えられている概念が、税法上の適用で問題となるときに、その概念を他の法律で用いられているのと同義に解釈するべきという考え方を、統一説と呼びます。

 借用概念について統一説をとる理由としては、法的安定性や、立法者意思をふまえ自然(もし異なる意味内容を与える場合には特別の規定が置かれることが想定される。)であることなどが挙げられます。

 一方、他の法律にない租税法特有の概念を、固有概念と呼び、例として、「所得」が挙げられます。

 一般に固有概念については、租税法独自の観点から決めるべきと考えられており、所得は経済上の利得を意味することから、実現した経済的成果に即して判断するべきとされています。

 ただし、法律行為に瑕疵がある場合などを念頭に、所得が固有概念であることをもって、私法上の法形式を全く無視して課税を行うことが許されているわけではないとの指摘もあるようです。