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定額給で合意した固定残業代について、想定した残業時間に満たなかった場合に一部を減額して支給してもよいか

 固定残業代のメリットについては、割増賃金の計算と清算が省略できること、固定残業代分が基礎賃金から控除されることから相対的に残業代の抑制につながることなどが一般的にあげられます。

 労働法上の一般原則ともいえる、実際に行われた労働時間に対してのみ賃金が発生するというノーワークノーペイの原則からすると、実際の労働時間以外の時間に相当する(固定)残業代は控除ないし減額するという考えも成り立つ余地はあるかもしれません。

 東京地判平成24年9月4日判決(ワークフロンティア事件)は、前記のような控除ないし減額する解釈を明確に否定する判断を示しており、一般的に実務でもそのように解釈されているようです。