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保証契約に関する情報提供義務~債権法改正⑤

 改正前の民法では、保証契約に関して、保証人に対する情報提供義務についての規定はありませんでしたが、改正民法では、債務者が保証の委託をした場合の情報提供義務及び違反した場合の効果について規定が設けられました。

 情報提供義務の具体的内容は、⑴財産及び収支の状況、⑵当該債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況、⑶当該債務の担保として他に提供したもの若しくは提供しようとするものがあるときはその内容であることが定められています。

1 契約時の情報提供義務

  情報を提供しなかった場合、あるいは虚偽の情報を提供した場合には、それに基づいて錯誤に陥り保証契約を締結した場合で、債権者がそのことを知っていた場合には、保証人に取消権が認められることになりました。

2 履行状況についての情報提供義務

  保証人が債権者に請求をした場合には、債権者は債務の履行状況について情報を提供する義務があることが定められました。

  義務違反の場合の効果については明示の規定はありませんが、損害賠償請求や、保証契約の解除が想定されているようです。

3 期限の利益を喪失した場合の情報提供義務

  債務者が履行を怠り期限の利益を喪失した場合には、期限の利益を喪失したことを知った時から2か月以内に通知する義務が定められました。

  義務に違反した場合には、義務を履行するまでの間に発生した遅延損害金を保証人に請求することができないことになります。