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「フランク三浦」の登録商標に対する無効審決が取り消された事例

 判例時報2315号100頁に掲載されている知財高裁平成28年4月12日判決です。

  原告フランク三浦側の主張の骨子は、原告商品がパロディウォッチに徹しており、原告商標が需要者が出所を混同して購入することがないように使用されており、原告商品と被告フランク・ミュラー商品とは明らかに別のものとして需要者に広く認識されているというものです。

 知財高裁は、結論として、商標法4条1項10号、11号、15号及び19号のいずれにも該当しないとして審決を取り消しました。

 11号との関係では、称呼においては類似するが外観において明確に区別でき、観念において大きく異なることに加え、称呼においてのみ出所が識別されるような実情は認められないと判断しています。

 なお,既にジュリスト1496号知財判例速報で,小林利明弁護士の評釈が掲載されており,パロディ商標が問題となった事例として,シーサー事件(知財高裁平成21年2月10日判決),ランボルミーニ事件(知財高裁平成24年5月31日判決),KUMA事件(知財高裁平成25年6月27日判決)が紹介されています。

<商標法>

第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

十 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

十一 当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第六条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

十五 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)

十九 他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)