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ホストの労働者性(消極)

 判例タイムズ1431号202頁に紹介されている東京地方裁判所民事第19部平成28年3月25日判決です。

 事案は,被告経営のホストクラブに勤務してた原告が,雇用契約を締結していたとして未払賃金及び旅行積立金を請求したというものです。

 労働者性を否定するポイントとして,報酬が売上に応じて決定され勤務時間との関連性が薄いこと,出勤時間はあるが客の都合が優先され時間的拘束が強いといえないこと,必要な衣装等を自腹で準備していること,内勤とは異なる扱いで月1回のミーティングは報告が主たるものであることが挙げられています。 

 労働者該当性は,実務上非常に難しい判断を迫れることが多く,また,この事例では労働基準法27条の「出来高払制その他の請負制で使用する労働者」と評価するか自営業者と評価するかが問題となっている点でも,事例として参考になると思います。

 匿名解説の最後には,「ホストクラブ業界の契約慣行上,本件の原告被告間の契約条件に類似した内容が多いと推察されるが,契約条件によっては,出来高払制その他の請負制で使用する労働者と評価される事案もあると考えられる。」と指摘されています。