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芸能プロダクションに所属していた女性アイドルが男性ファンと交際する等したことによる不法行為責任,債務不履行責任が肯定された事例

 判例時報2310号126頁に掲載されている東京地裁平成27年9月18日判決で,確定しています。

 判決では,交際禁止条項の効力を認めた上で,異性との交際が発覚したことを不法行為ととらえ,アイドル・芸能プロダクションにとって交際が発覚することはアイドル・プロダクションにとって多大な社会的イメージの悪化をもたらすとして交際と損害の因果関係を肯定しています。

 なお,異性とホテルに行った行為自体が直ちに違法な行為とはならないとしてはいます。

 過失相殺が4割認められていますが,その理由として,他のメンバーが交際を継続していた事実をその他のメンバーは把握していたにもかかわらず原告は把握していなかったなど,当該禁止条項が死文化していたとまではいえないまでも,十分な指導が行われいなかった事情を挙げています。

 類似の事案として,東京地裁平成28年1月18日判決があります。

 芸能プロダクションである原告が女性アイドルであった被告及び交際していた男性に対して,交際開始を機に出演業務を一方的に放棄するなどしたことによる逸失利益都の損害を発生させたとして損害賠償を求めたところ,女性アイドルであった被告に害意はなかったとして請求を否定したものです。