捜査機関が弁護側証人に対して犯人隠避容疑での捜索差押え・取調べを行った結果,証人が供述を変更したことについて,証人の事前面接の域を相当に逸脱した不当な行為であるとして,証人の公判供述の信用性を否定した事例
判例時報2306号137頁で掲載されている大阪高裁平成28年3月15日判決です。
以下のような経緯のようです。
1 担当検察官が,弁護人が請求し採用された証人について,弁護人の了承を得た上で,刑務所に収容されていた当該証人を警察官に取調べさせ,被告人が犯行に関与していない旨の調書を作成した。
2 その後,犯人隠避の被疑事実で捜索差押許可状を得て,居室,領置倉庫の捜索を行い,被告人からの手紙などを領置した。
3 さらに,検察官が当該証人を犯人隠避の被疑者として取り調べ,被告人が犯行に関与した趣旨の調書を作成した。
4 当該証人は,公判において,上記3の供述をした。
大阪高裁は,証人『の原審公判供述は,他に同様の供述をする者もいない特異なもので,当時』,証人『には虚偽供述の動機もあったのだから,到底信用できないものというべきである。』と判示しています。
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