債務整理事件,過払金返還請求事件を取り扱う法律事務所に雇用された裁判所書記官の経歴を有する者の整理解雇が無効とされた事例
判例時報2294号に掲載されている東京地判平27年9月18日です(判例時報ホームページ)。
争点として,①本件解雇の有効性(いわゆる整理解雇の4要件に沿った検討がなされています。原告の主張として,債務整理の減少の傾向は,平成23年4月以降受任時に弁護士と直接面談をするようになったことが原因であるとの主張がなされています。),②賞与及び一時金請求の成否,③定年制の有効性及び継続雇用の成否(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の解釈が問題となっています。),④不法行為責任の成否(被告が原告に対し行った懲戒処分の不法行為該当性が争われています。)などがあげられています。
裁判所は,人員削減の必要性は認めた上で,原告が多種多様な裁判事務を経験しているはずであるから,過払い請求事件及び債務整理事件以外の事件処理も一応推認でき,配置転換による解雇回避の検討がなされてしかるべきである,その他被告が主張する原告の消極要素は,過去の紛争の蒸し返しであって合理的な選定理由であることを否定しています。
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