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認定司法書士の業務範囲に関する最高裁平成28年6月27日判決

 最高裁HPで早速公表されています。

 最高裁は,債務整理を依頼された認定司法書士は,当該債務整理の対象となる個別の債権の価額が司法書士法3条1項7号に規定する額を超える場合には,その債権に係る裁判外の和解について代理することができないと述べ,いわゆる個別債権説の立場を明確にしたといえます。

 最高裁は,弁論を開いた上で上告を棄却していますが,理由づけとして,認定司法書士が業務を行う時点で,委任者や受任者である司法書士だけではなく,和解交渉の相手方などの第三者との関係でも客観的かつ明確な基準によって決められるべきとして,司法書士側が主張した弁済計画の変更によって受ける経済的利益の額によるべきとするいわゆる利益説や,債務整理の対象となる債権総額等の基準によって定めるべきとする見解を排斥しています。

 弁護士としては,任意整理によるべきか,認定司法書士に代理権が認められていない破産・個人再生などの法的手続きによるべきかについては,債権総額ないし債権の種類などをも慎重に見定めて方針選択することが必要であることから,債権総額等を基準とするべきであるという考え方が正しいと思います。

 いずれにせよ,弁護士業務,司法書士業務に影響の大きい判決です。