名古屋市の弁護士 森田清則(愛知県弁護士会)トップ >> 刑事 >> 弁護人が一部執行猶予を求めるとき

弁護人が一部執行猶予を求めるとき

 平成28年6月以降に判決が言い渡される事件で,一部執行猶予制度が開始するようです。

 一部執行猶予の要件として,「再犯のおそれ」が挙げられていることから,弁護人が一部執行猶予を求めるべき場合と言うのは,容易に想像できないところです(弁護人が再犯のおそれありという主張立証をすることはないと思われる。)。

 再犯のおそれがないと思われるホワイトカラー犯罪,介護疲れによる家庭内殺人等の事件では,このような観点から一部執行猶予制度の適用は想定されないということになります。

 また,一部執行猶予が付されると,保護観察期間が満了されるまでは国による干渉が続くと捉えれば,全部実刑とどちらが被告人に有利なのか,具体的に被告人にどう説明するべきかも難しい問題だと思います。

 実刑相当と裁判所により判断された事件において施設内処遇と社会内処遇の連携による再犯防止を図るという一部執行猶予制度の趣旨をふまえてじっくり研究しておく必要がありそうです。