名古屋市の弁護士 森田清則(愛知県弁護士会)トップ >> 倒産 >> 『破産債権に関する訴訟』係属中に破産手続が開始した場合

『破産債権に関する訴訟』係属中に破産手続が開始した場合

 破産債権に関する訴訟は,破産手続き開始により中断する(破産法44条1項)。

 訴訟が当然に中断するとしても,訴訟係属中の裁判所に知らせるため,破産管財人の弁護士は破産手続開始決定の写しと破産管財人証明書を添付して上申することになる(なお,破産手続開始後に訴えが提起された場合には,破産者から破産管財人に管理処分権が移っていることから,破産手続が開始された旨破産管財人が主張して却下判決が出されることになると考えられる。破産管財人に対する金銭給付の訴えが不適法として却下された事例として,最高裁平成13年7月19日判決がある。)。

 中断した訴訟について,破産管財人または相手方は直ちに受継の申立てをすることはできず,破産債権の確定手続きを経ることになる(破産法44条2項は,「・・・中断した訴訟手続のうち破産債権に関しないものを受け継ぐことができる。」と規定している)。

 相手方は,その破産債権について破産債権届出をして,裁判所により破産債権調査が行われる(破産法111条1項・2項,116条1項,117条2項)。破産債権届出をしない場合には,破産手続に参加できないことになる(破産法111条1項)。