名古屋市の弁護士 森田清則(愛知県弁護士会)トップ >> 倒産 >> 自動車(軽自動車)のクレジット販売契約において,当該契約上占有改定による引き渡しがあり,所有権留保を破産管財人に対抗できるとして,当該自動車買主の破産開始決定前に自動車の引上げを行ったクレジット会社に対する破産管財人の否認権行使が否定された事例

自動車(軽自動車)のクレジット販売契約において,当該契約上占有改定による引き渡しがあり,所有権留保を破産管財人に対抗できるとして,当該自動車買主の破産開始決定前に自動車の引上げを行ったクレジット会社に対する破産管財人の否認権行使が否定された事例

 金融法務事情2028号89頁で紹介されている名古屋地裁平成27年2月17日判決です。

 最高裁平成22年6月4日判決(民集64巻4号1107頁)の射程については,様々な議論があるところであり,特に破産申立て,民事再生申立てを行う弁護士としては,業者からの引上げ要請に応じるべきか否か非常に悩むことが多いところです。

 本判決でも,問題となっている契約書の条項及び契約当時の状況等を踏まえて占有改定の合意の有無を判断するという枠組みであり,軽自動車一般についての判断を示したものとは評価できないと思います。

 しかしながら,この案件と同じ業者から,類似の事案についての「第3回弁論準備手続調書(放棄)」の書面を入手しており,少なくとも,この業者の案件では,名古屋地裁管内での実務の処理の方向はかたまりつつあるという気がします。