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マイナンバー法対応6~特定個人情報の提供制限

 マイナンバー法は,特定個人情報が不当に利用・拡散されることを防止するため,特定個人情報を提供できる場合を同法19条で限定列挙しており,これをとらえて,特定個人情報の提供制限と一般に呼ばれているようです。

 しかしながら,同法19条12号は,「各議院若しくは各議院の委員会若しくは参議院の調査会が国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百四条第一項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)若しくは議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第一条の規定により行う審査若しくは調査、訴訟手続その他の裁判所における手続、裁判の執行、刑事事件の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査又は会計検査院の検査(第五十三条において「各議院審査等」という。)が行われるとき、その他政令で定める公益上の必要があるとき。」と定めており,マイナンバー法の本来の目的からはずれた事案でも,特定個人情報の提供を認めていることが明らかです。

 「訴訟手続その他の裁判所における手続、裁判の執行」との文言からは,強制執行手続きなどに利用可能なのかが弁護士としては興味をもつところですが,「刑事事件の捜査」においても提供されることが想定されていることについても気になるところです。