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最高裁平成27年3月10日判決に対する国税庁の対応など

 競馬の払戻金が雑所得に当たり,外れ馬券の購入代金を雑所得に対応する必要経費に該当すると判断した最高裁平成27年3月10日判決を受けて,国税庁がコメントを発表しています(国税庁HP)。

 今後の対応として,所得税基本通達34-1の改正と,法令上可能な範囲で是正をするということのようです。

 同最高裁判決では,大谷剛彦裁判官が,①雑所得に当たるとしても,払戻金は当たり馬券によって発生し,外れ馬券はその発生に何ら関係ないという意味で単なる損失以上のものではないから,外れ馬券の購入代金は必要経費には該当しない,②このことは,長期間にわたり多数回かつ頻繁に網羅的な特殊な態様であったとしても変わらないという趣旨の意見を付けています(そのほかに,裁判官出身の最高裁判事らしい判示もあります)。

 一方で,大谷意見は,本件の被告人のような行為について,「ビジネス性を持つ活動」との評価をしているようであり,所得区分として事業所得的な発想をしているようにも読めます(正確には,課税の公平・安定性の見地から,課税対象を明確にする特例措置を設けるべきとの立場のようです。)。