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23条照会について判断した高裁判例

 いわゆる23条照会に関する注目すべき高裁判例が出ました。

 23条照会をうまく使うことがポイントになる案件も多いだけに,調査・研究が必要です。

1 愛知県弁護士会が,日本郵便株式会社を相手に,弁護士法23条の2に基づく転居届の照会に対する回答拒否について損害賠償請求をしていた訴訟で,名古屋高裁は,原判決を破棄し,日本郵便株式会社に対し,1万円の支払を命じる判決を下しました。
  原審の名古屋地裁は,弁護士法23条の2に基づく報告義務は郵便法上の守秘義務に優越し,日本郵便の報告拒絶には正当な理由を欠いていることは認めた上で,報告義務と守秘義務との優劣について判断した最高裁判例はないので被告に過失がないという理由で,損害賠償請求については棄却していました。

2 判例時報2243号35頁に掲載された『税理士が弁護士法23条の2の照会に応じて,納税義務者の確定申告書等の写しを提供したことが不法行為を構成するとされた事例』(大阪高裁平成26年8月28日)では,税理士法38条の守秘義務に反し不法行為を構成するものとして,35万円の支払が命じられています(原審の京都地裁では,全部棄却されているようです。)。