整備法53条と平成26年会社法改正
平成26年会社法改正では,監査役設置会社において監査役の範囲を会計に限定する旨の定款の定めがある株式会社は,「監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の定款の定めがある株式会社」である旨を登記することとされました(改正会社法911条3項17号)。
注意するべき点として,平成17年会社法改正時の会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(いわゆる整備法)53条の存在があります。
同規定は,旧商法特例法の小会社の場合には,監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めがあるものとみなすことを定めています。
したがって,株式会社の定款上,監査役の監査の範囲を会計に限定していないように見えても,法律上監査役の監査の範囲を会計に限定している株式会社が存在することになります。
<参照条文>
会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年7月26日法律第87号)
(監査役の権限の範囲に関する経過措置)
第53条 旧株式会社がこの法律の施行の際現に旧商法特例法第1条の2第2項に規定する小会社(以下「旧小会社」という。)である場合又は第66条第1項後段に規定する株式会社が旧商法特例法の適用があるとするならば旧小会社に該当する場合における新株式会社の定款には、会社法第389条第1項の規定による定めがあるものとみなす。
会社法
(定款の定めによる監査範囲の限定)
389条1項 公開会社でない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)は、第三百八十一条第一項の規定にかかわらず、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。
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