親子関係不存在確認請求事件最高裁判決(平成26年7月17日)
DNA型鑑定で血縁関係がないと証明されれば(判決文ではでは99.99パーセント,99.999998パーセントと認定されています),法律上の父子関係を取り消せるかが争われた上告審判決で,最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は17日,DNA型鑑定より法律上の父子関係を優先させ,父子関係は取り消せないとの判断を行いました。
争点は,科学的証拠により生物学上の父子関係が否定された場合で,①夫婦関係が破綻して子の出生の秘密が露わになっており,かつ,②生物学上の父との間で法律上の親子関係を確保できる状況にある,という要件を満たす場合に,親子関係不存在確認の訴えを嫡出否認制度の例外として認めるかどうかということのようです。
上記場合であってもそれを認めることは解釈論の域を超えると考えるか(多数意見),実質的な観点を導入することにより嫡出否認制度の例外を認めるいわゆる外観説と同じ発想でこれを認めてよいとするか(反対意見)の対立です(金築誠志裁判官の反対意見は一読の価値ありと思います。なお,裁判長の白木勇裁判官も反対意見を付けています。)。
同じく第1小法廷は,民法777条が嫡出否認の訴えにつき1年間の出訴期間を定めていることについては,裁判官全員一致で合憲の判断をしています。
性同一性障害の方の嫡出推定を認めた最高裁平成25年12月10日判決との関係も整理しておきたいと思います。
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